完了不定詞(to have p.p.)

完了不定詞の「to have 過去分詞」
という形と使い方、意味との訳し方
について例文を用いて解説します。

目次

完了不定詞の形は、

to不定詞のto+動詞の原形と
現在完了形のhave+過去分詞を合わせて

「to have 過去分詞」となります。


そして、完了不定詞の意味は、

to不定詞の名詞的用法の
「~すること」という意味に対して

「~だった(こと)」となります。


それでは、以下に例文を用いて
完了不定詞の使い方と訳し方について
詳しくみていきます。


完了不定詞と一緒に用いられる
表現があるので、その表現と合わせて
完了不定詞の使い方を解説します。


S seem to ~

1つ目は、「~のようです」
という意味のIt seems that ~ を
書き換えたS seem to ~ です。

It seems that ~ の
thatは接続詞なので、
~の部分には節が置かれます。


節は主語+動詞からなる文で、
以下の例文では~の部分に
he is richという文が置かれます。

It seems that he is rich.
「彼は、お金持ちのようです。」


そして、この文はthat節のheを主語にし、
seemの後ろにisをto不定詞のto beにして
以下のように書き換えることができます。

He seems to be rich.
「彼は、お金持ちのようです。」


以下のように、
heを繰り返すような言い方はしません。

×He seems that he is rich.


S seem to have p.p.

それでは、完了不定詞の
解説に入ります。


以下のIt seems that ~ という文を
He seems to ~ という文に書き換えて
みましょう。

It seems that he was rich.
「彼は、お金持ちだったようです。」


この場合、He seems to be rich.
という文では間違いです。


以下の例文では、

It seems that he is rich.

seemという主節の時制と
isというthat節の時制が同じ現在形で、

「現在」彼がお金持ちということが
「現在」~のようですと推測されています。


よって、toの後ろにisの原形の
beを置いて以下のようになります。

He seems to be rich.


ところが以下の例文では、

It seems that he was rich.

was richと「過去のある時点」で
彼がお金持ちだったということを
seemsと「現在」推測しており、

that節の時制が主節の時制より
1つ古くなっています。


この場合、He seems to ~
という文に書き換える時に、

to ~の部分で「過去」であることを
表さなければなりません。


to不定詞は「to+動詞の原形」なので
toの後ろに「過去のこと」を表すために、
過去形のwasを置くことはできません。


to beでは主節の時制と同じになり
toの後ろの部分が現在になってしまうので、

「to have 過去分詞」という完了不定詞
の形を用います。


よって、It seems that he was rich.
「彼は、お金持ちだったようです。」は、
以下のように書き換えることができます。

He seems to have been rich.
「彼は、お金持ちだったようです。」


2つの例文の意味は、同じです。


主節が過去でthat節が大過去

完了不定詞to have p.p.は
必ず「過去」を表すのではなく、
主節の時制より1つ古い時制を表します。


次に、以下の文を書き換えてみます。

It seemed that he had come here.
「彼は、ここに来たようでした。」


この例文では、seemedと
主節の時制が「過去」であるのに対し、

had comeとthat節の時制は
「過去完了」の形になっています。


この過去完了形は大過去と言って、
過去より古い時の状態や動作を表します。


よって、この例文は、

過去のある時点でその時点よりさらに前
の過去に彼が「ここに来た」といことを
「~だったようでした」と推測しています。


例えば彼がここに来たのが1週間前で、
それを推測したのが昨日という状況です。


よって、主節の時制「過去」より
that節中の時制「大過去」が1つ古いので、
完了不定詞を用いて以下のように表します。

He seemed to have come here.
「彼は、ここに来たようでした。」


これで過去のある時点で「彼が来た」、
それより後の過去のある時点で「~だった
ようでした」と推測したことが表せます。


以下の例文のように、

It seemed that he came here.
「彼は、ここに来るようでした。」


主節の時制がseemedと過去で、
that節の時制もcameと過去の場合は、

以下のようにto不定詞のto come
を用います。

He seemed to come here.


完了不定詞とよく用いられる
もう一つの表現について解説します。


S is said to ~

2つ目は、「~と言われている」
という意味のIt is said that ~ を
書き換えたS is said to ~です。


このthatは接続詞なので、
以下のように~には節が置かれます。

It is said that he plays tennis.
「彼は、テニスをすると言われている。」


そして、この文はthat節のheを主語にし、
is saidの後ろにto不定詞のto playを置いて
以下のように書き換えることができます。

He is said to play tennis.
「彼は、テニスをすると言われている。」


以下のように、
heを繰り返すような言い方はしません。

×He is said that he plays tennis.


S is said to have p.p.

ここからは、完了不定詞の
使い方の解説に入ります。


以下のIt is said that ~ という
形を用いた文を、He is said to ~
という文に書き換えてみます。

It is said that he played tennis.
「彼は、テニスをしたと言われている。」


この場合、上で解説した
He is said to play tennis.
という文では間違いです。


以下の文では、

It is said that he plays tennis.

主節の時制isと
that節の時制playが同じ現在形で、

彼が「現在」テニスをすることが
is saidと「現在」言われています。


よって、toの後ろにplaysの原形
playを置いて以下のようになります。

He is said to play tennis.


これに対して以下の例文では、

It is said that he played tennis.

彼が「過去のある時点」で
テニスをしたことが「現在」言われており、
that節の時制が主節の時制より1つ古いです。


この場合、He is said to ~
という文にに書き換える時に、

to ~の部分でisという現在より
1つ古い「過去」であることを
表さなければなりません。


to不定詞は「to+動詞の原形」なので
toの後ろに「過去のこと」を表すために、
過去形のplayedを置くことはできません。

しかし、to playでは1つ目の文と
同じで現在のことになってしまうので、
to playedも使えません。


この場合に完了不定詞を用い、
以下のように書き換えることができます。

He is said to have played tennis.
「彼は、テニスをしたと言われている。」


主節が過去でthat節が大過去

次に、以下の文の書き換えてみます。

It was said that he had been rich.
「彼は、お金持ちだったと言われていた。」


この例文ではwas saidと
主節の時制が「過去」で、

that節の時制がhad beenと
「過去完了」になっています。


この過去完了形は大過去で、
過去より古い時の状態や動作を表します。


この文は、過去のある時点で、

その時点よりさらに過去に彼が
「お金持ちだった」といことが

「~だったと言われていた」と
噂されていたことを表しています。


例えば彼は10年前にお金持ちで、
そのことについて話されたのが
昨日だったという状況です。


よって、主節の時制「過去」より
that節中の時制「大過去」が1つ古いので、
完了不定詞を用いて以下のように表します。

He was said to have been rich.
「彼は、お金持ちだったと言われていた。」


これで、過去のある時点で
「彼がお金持ちだった」ことを、

それより後の過去のある時点で
「~だったと言われていた」と
彼について話されたことを表します。


以下の例文のように、

It was said that he was rich.
「彼は、お金持ちであると言われていた。」


主節の時制がwas saidと過去形で、
that節の時制がwasと同じ過去形の場合、

以下のようにto不定詞のto be rich
を用います。

He was said to be rich.


完了不定詞は、to不定詞の時制が
主節の時制より1つ古い時制の時に用い、
意味は「~だった(こと)」となります。

完了不定詞の問題

問題.以下の文を日本語に訳しなさい。

(1)He seems to live in London.

(2)He seems to have liveed in London.

(3)He seemed to know Bob.

(4)He seemed to have met Bob two years before.

  ※two years before
 「(過去のある時点から)2年前」

(5)He is said to be sick.

  ※be sick「病気である」

(6)He is said to have been sick.

(7)He was said to live in Paris last year.

(8)He was said to have lived in Paris two years before.


答えはこの下にあります。

練習問題の解答

(1)「彼は、ロンドンに住んでいるようです。」

※彼が「現在」ロンドンに住んでいると、
「現在」推測しています。


(2)「彼は、(以前)ロンドンに住んでいたようです。」

※彼が「過去に」ロンドンに住んでいたと、
「現在」推測しています。


(3)「彼は、ボブを知っているようでした。」

※彼が「(ボブを)知っていた」時点と、
「~のようだった」とそれを推測したのが
同じ時(過去)であることを表しています。


(4)「彼は、2年前ボブに会っていたようでした。」

※過去のある時点から「2年前」に、
彼が「(ボブに)会っていた」ことを
「~だったようでした」と推測しています。


(5)「彼は、病気だと言われています。」

※彼が「現在」病気であると、
「現在」言われているという意味です。


(6)「彼は、病気だったと言われています。」

※彼が「過去に」病気だったと、
「現在」言われているという意味です。


(7)「彼は、去年パリに住んでいると言われていました。」

※パリに「去年」住んでいたと
「去年」言われたというように、

住んでいたのと言われていたのが
同じ時であることを表しています。


(8)「彼は、2年前パリに住んでいたと言われていました。」

※言われた時点より2年前に、
パリに住んでいたことを表しています。

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